突然、ウェブサイトの検索順位が下がって Google からオーガニックトラフィックを失うことは重大な損失です。
そのため、ランキングの急落はショックやパニックを起こし解決方法を探すことに躍起になります。
しかし、原因の可能性は、ペナルティ、リンク、アルゴリズム、サイト変更、UX など多岐にわたります。
重要なことは、焦らずやみくもに行動するのではなく適切なステップを踏んで対処することです。
このガイドは、Google で検索順位が下がったウェブサイトの対処方法を解説しています。ランキングが落ちたページの特定、ランキングが下がった原因の究明、状況を改善するための対処法というシンプルかつ最も重要な3つのポイントで構成しています。
Step1. 検索順位が下がったのかを確認する
検索順位急落の原因究明・対処を行う前に、あなたのウェブサイトの検索順位が Google において本当に下がったのかを調べます。
上位表示していたページのランキングが大きく下がれば、オーガニックトラフィックやコンバージョンが減少するので収益に大きな影響を及ぼします。
そのため、ランキングの下落の有無だけでなく、どのページがどの程度の影響を受けたのか現状を正確に把握する必要があります。Google Search Console、Google Analytics、トラッキングツール、Ahrefs などを利用して状況を調べます。
調査内容は次のようにスプレッドシートで整理すると効率的ですので、 現状を把握するためのシンプルなテンプレートを無料ダウンロードしてください。Google スプレッドシートや Excel で使用できます。
1. Google Search Console でインプレッションを確認する
Google Search Console でインプレッション(合計表示回数)の変動を確認します。グラフを比較することで、いつから検索結果の表示回数が減少し始めたのかを調べます。
グラフでインプレッションが大きく落ち込んでいるポイントを探します。
Google Search Console > 検索パフォーマンス > 比較 過去28日間と前の期間を比較
2. Google Analytics でオーガニックトラフィックを確認する
Google Analytics でオーガニックトラフィックの変動を調べます。先週・先月のトラフィック量と比較してウェブサイトのトラフィック(アクセス)の減少したサインやページを探します。
Google Analytics > 行動 > サイトコンテンツ > すべてのページ > 過去30日間 比較
トラフィックの減少は、 Ahrefs の参照グラフのように急落しているパターンと段階的に下落しているパターンがあります。これらのサインを見落とさないように確認してください。
3. トラッキングツールでキーワードの検索順位を調べる
キーワード(クエリ)の検索順位の変動をトラッキングツールで調べます。具体的にどのキーワードのランキングがどの程度落ちたのかの情報を正確に把握します。
トラッキングツールを導入している場合は、Google Search Console や Google Analytics よりも簡単・効率的に現在の状況を確認できます。
トラッキングツールは、ウェブサイトとキーワードを登録することでキーワードの順位変動を記録できる SEOツールです。トラッキングツールはトラブル発生前から事前に記録しておく必要があるので、まだ導入していない場合はこの機会に利用を検討してみてください。
たとえば、Ahrefs の Rank Tracker を使用した場合、次のようにキーワードの順位変動をデータやグラフで確認できます。
サンプルは、Google ウェブマスター向け公式ブログにおける ”モバイルファーストインデックス” の順位変動を示しています。
Ahrefs > Rank Tracker > Positons
また、儲け学のキーワード順位チェッカーは、ドメインを入力して、検索順位を調査したいキーワードを入力すると Google におけるキーワードの検索順位を調査することができます。トラッキングツールを使用していない場合の代替手段になります。
キーワード順位チェッカー > ドメインを入力 > キーワードを入力(複数可) > キーワードポジションを探す
4. Ahrefs でページを調べる
検索順位が下がったページを Ahrefs のサイトエクスプローラーで調べます。オーガニックキーワード、オーガニックトラフィック、被リンクのプロフィール、検索順位の変動状況をグラフで確認できます。
Google Analytics や Google Search Console よりも最新の情報を得られるのでトラブル発生直後の調査に役立ちます。Ahrefs 以外では、Moz や SEMrush などのツールでも代用できます。
Ahrefs > サイトエクスプローラー > URL入力 > 完全一致 > 概要 > 被リンクのプロフィール・オーガニック検索
5. キーワードとページの価値を再考する
これまでのプロセスでは、ランキングが落ちたキーワードやページの情報を整理しました。次のステップはこれらのリカバリーです。
しかし、実際に作業を行う前にランキングが下がったキーワードやページが本当に対処する価値があるか再考するべきです。
なぜなら、あなたのウェブサイトやビジネスと関連性が低いキーワードならば緊急で対応する必要がないからです。そのため、キーワードやページを次の3つのポイントで見直します。
- トラフィック(アクセス数)
- ウェブサイトにトラフィックをもたらしているか?
- リード
- 見込み客獲得の役立っているか?
- コンバージョン
- 売上や顧客獲得をもたらしているか?
これらのトラフィック、リード、コンバージョンの観点からみて、ランキングの下落以前から役立っていないページならば対処の必要性の有無を再検討してください。
Step2. 検索順位が下がる原因と対処法
あなたのビジネスにおいて重要なページの検索順位が下落して早急に対処する必要性があることを明確にしたら、次は原因究明と対処のステップです。
ここでのポイントは、なぜランキングが落ちたのか、どのようなプロセスで改善するのかを理解することです。
1. Google Search Console を確認する
Google Search Console で手動対策やセキュリティの確認と、URL検査ツールでテストを行います。ウェブサイトに何か異常自体が発生した場合、Google Search Console でウェブサイトの状況を確認するのは最優先事項です。
なぜなら、Google Search Console は、クロール、インデックス、トラフィックデータ、セキュリティ、モバイルなどの状況を確認できる重要なツールやレポートを利用できるからです。
手動対策とセキュリティを確認する
Google Search Console で手動対策とセキュリティの問題の有無を確認します。どちらのレポートでもエラーがある場合は、エラーを解決して再審査リクエストを送信するというプロセスが必要になります。
Google Search Console > セキュリティと手動による対策 > 手動による対策・セキュリティの問題
まず、手動による対策です。Google のガイドラインの違反を犯して手動対策のペナルティを受けている場合、手動対策の詳細説明と影響を受けているページが表示されます。
不自然なリンク、価値のない質の低いコンテンツなどが定番のペナルティといえます。手動対策の問題を解決する方法は、公式ページで説明している手順に従って全ての問題を解決したうえで再審査リクエストをします。
次に、セキュリティの問題も同様です。ハッキングやマルウェアの被害を受けている場合には、レポートにエラーの詳細が表示されます。公式ページの手順に従ってそれらのエラーを解決したら再審査リクエストをします
URL検査ツールでテストする
URL検査ツールでページを調べて、Googleでの登録状況、インデックスカバレッジ、拡張機能にエラーがないかを確認します。
このURL検査ツールで得られる情報は次のようにとても重要で、特にインデックス登録のエラーは致命的といえます。インデックスに問題があれば検索結果にすら表示されないからです。
- URL の現在のインデックス ステータスの確認
- 公開 URL の検査
- URL のインデックス登録リクエスト
- レンダリングされたページの表示
- 読み込まれたリソースリスト、JavaScript の出力、その他の情報を表示する
Google Search Console > URL検査 > URL の入力
結果を確認してエラーがある場合、エラーの詳細と解決法が表示されるのでそれに従って対処します。なお、ウェブサイトの全てのページのインデックスデータのみの状況を調べる場合は、インデックスカバレッジレポートで一目で確認できます。
その他
- サイトマップレポート
- サイトマップレポートでサイトマップにエラーがないかチェックする。
- メールの通知設定
- Google Search Console のメッセージ設定でメールアドレスを登録しておくと、エラーが発生した場合に Google Search Console からメール通知を受信できる。
2. Googleの検索アルゴリズムのアップデート情報を確認する
Google の検索アルゴリズムの最新アップデート情報を調べます。アップデート直後にランキングが下がった場合、アップデートの影響を受けた可能性が考えられるからです。
アルゴリズムのアップデートは2通りあります。新しいアルゴリズムのロールアウトと既存アルゴリズムのリフレッシュです。
いずれにせよどのような内容の更新が行われたのかを把握します。次の情報源やツールは、Google の最新情報を得ることに役立ちます。
情報源
次のブログや Twitter は SEO の最新情報を発信しています。検索関連のニュースを毎日メールで配信しているブログもありますので、いくつかのニュースレターに登録しておくと便利です。
- ブログ
- Google の検索アルゴリズムのアップデートの歴史
ツール
次は Google のアルゴリズムの変動をグラフで確認できるツールです。
アルゴリズムの変動とウェブサイトのトラフィックの変動をグラフで比較できます。Google Analytics のデータと連携することで、自らのウェブサイトのデータと比較分析できるのが大きなポイントです。
Google のアルゴリズムの変動を天気予報に見立ててグラフで表現しています。数値が大きく雨マークが表示されている場合は、ランキングが変動していることを意味しています。
MozCast の類似ツールですが、MozCast よりも詳細なデータが表示されます。次のように埋め込み式のウィジェットも提供しています。
最新情報
【2019 Update】: 2018年から頻繁にアナウンスされているコアアップデートの概要と対処方法についてです。
Google のゲイリー氏曰くコアアルゴリズムは、何百万の ” Baby Algorithm ” の集合体で構成されています。
Google では年に数回、検索アルゴリズムとシステムに重要かつ大規模な変更を加えており、このような変更を「コア アップデート」と呼んでいます。
コア アップデートには、特定のページやサイトを対象とした変更はありません。コア アップデートの変更は、コンテンツ全体に対する Google のシステムの評価方法を改善するために行われます。
コアアップデート後にランキングが下がった場合に行うべきことは、コンテンツの品質を高める施策を行うことです。コンテンツの品質を評価するためのポイントについては、Google が公開している次のコンテンツが参考になります。
3. 被リンク(バックリンク)プロフィールを調べる
Ahrefs でページの被リンクプロフィールを確認して、DR や UR などのレーティングが高いリンクを失っていないかを調べます。
被リンク(バックリンク)は SEO において重要な要因です。ランキングを押し上げることに大きく貢献していた貴重な被リンクを失えば、当然ランキングが下がる可能性が高いからです。
Ahrefs > サイトエクスプローラー > URLの入力 > 被リンクのプロフィール > 被リンク失った > 60日間でフィルタ
重要なリンクを失っていた場合は、失ったリンクのページを確認します。もし意図的にリンクが外されている場合は、サイトオーナーに再びリンクしてもらえるような提案をします。
また、失ったリンクを取り戻すことができない場合は、次のようなリンクビルディング戦略で新たな被リンク獲得を目指します。
なお、被リンクプロフィールを調べると稀にネガティブSEO を疑うようなケースに遭遇します。ネガティブSEO とは、スパム的なサイトからリンクして対象サイトのランキングを下げようとする悪質な行為です。
しかし、ネガティブSEO の被害を受けていると考えているほとんどのサイトは他の要因が原因となっています。被害を受けていると勘違いして気軽にリンク否認ツールを使用することで、本当はランキングに貢献していたリンクを削除してしまうというケースはよくあります。
つまり、ネガティブSEO を受けているケースは本当に稀で、なおかつ Google側で処理してくれるのでスパム行為の被害を受けている可能性を考慮するのは本当に最後で問題ないということです。
4. ウェブサイトの変更点を確認する
次の項目でウェブサイトに変更を加えたポイントがないかを確認してください。何らかの変更を行った直後にランキングが下がった場合、変更が悪影響を及ぼした可能性があります。
ウェブサイトの変更点を確認する
- リダイレクト
- 正規 URL
- robots メタタグ
- robots.txt
- hreflang
- .htaccess
- HTTPS
- ナビゲーション
- 読み込み時間
- クロールエラー
- 404ページの増加
- サーバーの負荷
コンテンツの変更点を確認する
- タイトル
- メタディスクリプション
- 内部リンク
- 外部リンク
- アンカーテキスト
- URLの変更
5. 競合サイトの状況を調べる
特定の競合サイトだけに検索順位を上回られて、その他の競合サイトのランキングが変動していない場合、単純に競合サイトの SEO の成果によってランキングを追い抜かされた可能性があります。
ランキングが上昇した競合サイトのリンクやコンテンツの状況を調べて、競合サイトが良い成果を得られた要因を検証します。そして自らのコンテンツのマーケティング戦略にそれらの要因を取り入れます。
新しいリンクを調べる
競合サイトがランキングを押し上げるような新しい被リンクを獲得しているか Ahrefs で調べます
Ahrefs > サイトエクスプローラー > URLの入力 > 被リンクのプロフィール > New > 60日間でフィルタ
競合サイトが有益なリンクを得ている場合、そのリンクを自らのウェブサイトも得るための方法を模索します。前述のエベレストメソッドなどが効果的です。
コンテンツの変更点を調べる
競合サイトがコンテンツにどのような変更を加えたのかを調べます。過去のページを調べることができる Wayback Machine を使用して、競合コンテンツのビフォーアフターを比較します。
Wayback Machine > 競合サイトの URL
次のポイントで変更点がないか調べます。特にコンテンツに新たに追加した情報やトピックです。競合サイトにあって自分のサイトにない情報を発見した場合は、競合サイトよりも詳細な情報を自らのコンテンツに加えます。
近年の SEO はユーザーの検索意図が何よりも重要なので、常に検索意図に合致する情報を提供し続けるコンテンツのアップデートが必要不可欠です。
- タイトル
- メタディスクリプション
- コンテンツ
- アンカーテキスト
6. ユーザーエクスペリエンスを確認する
ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)が低下している兆候がないかを調べます。ユーザーエクスペリエンスが低下する可能性のあるウェブサイトの変更を行ったことで検索結果でのクリック率(CTR)などが低下すれば、ランキングにネガティブな影響を与える可能性があります。
Google は否定していますが、” UX はランキングに何らかのの影響を与えている” というのが SEO専門家の多くが支持する通説です。
そのため、UX に影響を与えるウェブサイトの変更を行った場合は、次の項目のデータに悪影響を与えていないかを調べて対処します。これらのデータは、Google Analytics や、Google Search Console から得られます。
- 直帰率
- 内部リンク、ナビゲーションの最適化
- 滞在時間
- 動画コンテンツの活用等
- ページの読み込み時間
- PageSpeed Insights で計測、改善
- SERPs のクリック率
- タイトルタグ、メタディスクリプションの最適化
- リッチリザルトの活用
- コンテンツ
- ユーザーの検索意図に合致するコンテンツ
- モバイルでの読みやすさの最適化
- フォント
- 行の高さ
- 色
結論:適切な改善計画と事前対策が重要
このガイドでは Google で検索順位が下がった場合に対処するための方法を、次の3つのシンプルなポイントに基づいて解説しました。
- ランキングが落ちたページ・キーワードの特定
- ランキングが下がった原因の究明
- 状況を改善するための対処方法
検索順位の急落は、このポイントを明確にしたうえで正しい手段で改善計画を実行すればリカバリーできます。しかし、こうした SEO の問題を迅速に解決するためには、ウェブサイトを常時モニターしておくことが重要です。
常にウェブサイトの監視やキーワードの順位をトラッキングしていれば、トラブルが発生した場合に問題点を素早く特定できるからです。
Google Search Console、Google Analytics は当然のことながら、有料の SEOツールを導入しておくことは、SEO だけでなくウェブサイト全体のトラブルに対する事前対策になります。
もしあなたが新たなツールの導入を検討しているならば、ぜひこちらのツールリストをチェックしてみてください。
宮 義明は、儲け学の運営者で宮行政書士事務所の代表です。儲け学は、海外の最新 SEO ・ウェブマーケティング戦略や、SEOツール「Smallsteps」を公開しているマーケティング情報サイトです。宮 義明は、マーケティング関連のウェブサイトを10年以上運営しており、そこで得た経験や情報を発信しています。著者情報の続きはこちら
鈴木葵 says
こんにちは。いつも読ませていただいています。
健康系のKWで上位表示されていたコンテンツが今年に入り圏外になってしまいました。今ヘアケアや健康系のコンテンツで今上位表示させるには専門家(医師や美容師など)のコンテンツでないと厳しいのでしょうか?
リライトをするにもそもそもの問題だったりするのかどうかわからず困っています。
可能でしたらアドバイスいただけると幸いです。
宮 義明 says
記事をご覧いただきありがとうございます。
お金・健康・安全・法律・ニュース(YMYL)の分野は、近年検索アルゴリズムを頻繁にアップデートしています。コンテンツの情報量、正確性、専門性が求められるだけでなく、コンテンツ作成者も評価要因とみなされています。
そのため、健康系サイトの運営においては、このようのポイントをいかに改善・向上させるかを検討する必要があります。健康系サイトを運営するために必ずしも専門家である必要はありませんが、高い専門性が求めれているは事実です。
鈴木葵 says
ご返信ありがとうございます。
専門性を高めるために書籍などエビデンスが取れる情報を盛り込んだコンテンツを作成するなどの対応をする必要があるという事でしょうか。
その観点でリライトしてみようと思います。