2022年、デジタルマーケティングにどんなトレンドが巻き起こるのか?
トレンドを予測できれば、マーケティング戦略の立案が容易になります。
そこで、このデジタルマーケティングのトレンド予測では、儲け学のメインテーマである SEO、ソーシャルメディア、ブログを中心に、2022年以降のマーケティングの方向性を示す11のトピックに焦点を当てました。
1. 動画は必須のマーケティングチャネル
動画は、2022年に最も優先して行うべきマーケティング戦略です。
マーケターは、 YouTube、TikTok、Instagram などの動画マーケティングに力を注いでいます。
2021年に使われたコンテンツマーケティングのメディアは、動画が一番多く、次いでブログ、インフォグラフィックでした。(HubSpot)
動画を利用しているマーケターの 93% が、動画はマーケティング戦略の重要な要素であると回答しています。2015年は 78% だったので、動画の重要性が年々増加していることがわかります。(Wyzowl)
動画マーケティングの大きなメリットは、トラフィックとコンバージョンの増加に役立つことです。
Wyzowl によると、
- 動画マーケティング担当者の 86% が、動画によってウェブサイトへのトラフィックが増加したと回答。
- 動画マーケティング担当者の 78% は、動画が売上向上に直接役立ったと回答。
- 動画マーケティング担当者の 94% が、動画によって自社の製品やサービスに対するユーザーの理解が深まったと回答。
何をするべきか?
トラフィックの多い YouTube に動画を投稿して、SEO を行う。それらの動画を様々なマーケティング キャンペーンに活用する。
さらに、人気が上昇中の TikTok や Instagram などにも短尺動画を投稿する。
現在、マーケターの 31% 以上が短尺動画コンテンツに投資しており、そのうち 46% がパフォーマンスとエンゲージメントに関してこの戦略が効果的であると考えています。また、2022年に、マーケターの 89% が、投資を継続または増加させることを計画しています。(HubSpot)
関連するコンテンツ: YouTubeのSEO完全ガイド:動画のSEO対策
2021年に使われたコンテンツマーケティングのメディアは、動画が一番多く、次いでブログ、インフォグラフィック。 ツイートする2. TikTok の台頭
企業の 64% は、3〜5つのソーシャルメディアをプロモーションに活用しています。(HubSpot)
Instagram、Facebook、Twitter、YouTube などが上位を占めています。
そして、企業が新たに利用することを検討しなくてはならないのが、TikTok です。TikTok は、短編動画によるエンターテイメントを支配しつつあります。
TikTok のユーザー数はすでに10億人を超え、2022年春には15億人に達して、3番目に人気のあるソーシャルメディア プラットフォームになると予想されています。(Statista)
実際、マーケターの 67% が、2022年に TikTok への投資を増やす予定です。(HubSpot)
何をするべきか?
10歳から49歳のユーザーをターゲットにしているのであれば、TikTok 向けの動画を投稿するべきです。
たとえば、Canva は、ツールのチュートリアルを TikTok に投稿しています。
TikTok のユーザー数はすでに10億人を超え、2022年春には15億人に達して、3番目に人気のあるソーシャルメディア プラットフォームになると予想されている。 ツイートする3. SEO は依然として重要
SEO は、流行に左右されずにマーケティング戦略で重要な位置を保ち続けます。
HubSpot によると、
- 75% のマーケターは、マーケティング目標の達成に SEO がとても効果的だと回答。
- 61% のマーケターは、SEO を改善してオンラインで存在感を高めることが、インバウンドマーケティングの最優先事項であると回答。
- 2020年は 65%、2021年は 69% のマーケッターが SEO に投資した。
これらのデータは、SEO に継続的に投資して成果を得ることがマーケティング戦略の根幹にあるがわかります。
また、実際に行っている具体的な SEO 施策は、キーワード戦略、ローカライゼーション、モバイル最適化です。
何をするべきか?
SEO は今後も一定の価値を持ち続けるので、長期的な視点で投資するべきです。
Google のアルゴリズムのアップデートは頻繁に行われますが、基本的なポイントは変わらないので継続的に取り組むことが重要です。
関連するコンテンツ: Googleの検索アルゴリズム完全リスト200項目
61% のマーケターは、SEO を改善してオンラインで存在感を高めることが、インバウンドマーケティングの最優先事項であると回答した。 ツイートする4. 何はともあれ検索意図
SEO には様々なトレンドがありますが、「検索意図」は間違いなく近年のトレンドです。
Google のコアアップデートが実施されるたびに、検索意図の重要性があらゆる SEO 情報サイトで語られます。また前述のデータでも、キーワード戦略が SEO 施策のトップを占めています。
これらは、2022年以降も SEO 担当者に重くのしかかるトピックでしょう。
何をするべきか?
検索意図を考慮したコンテンツの設計・最適化をします。
まず、キーワードの検索意図を分類します。検索意図の把握には、カスタマージャーニーを考慮します。
関連するコンテンツ: SEOのキーワード選定方法:キーワードリサーチ術
次に、実際にキーワードを Google 検索した時に、上位表示されているページを次の3つの基準で分析します。
- コンテンツの種類は何か?
- ブログ
- 商品・サービス
- カテゴリ
- ランディングページ
- 動画
- コンテンツの形式は何か?
- リスト
- ハウツー
- チュートリアル
- レビュー
- 比較
- コンテンツの対象は?
- 初級者、中級者、上級者
- 最高、最低、最安
- 新しい、古い
この2ステップを行うだけで、クエリの検索意図を把握することに大きく役立ちます。
関連するコンテンツ: Googleで検索上位を達成するための13の方法
5. インフルエンサーの大きな影響力
口コミやインフルエンサーを活用したマーケティングは、より一般的な手法になりつつあります。
HubSpot によると、
- マーケターの 34% が、2022年にインフルエンサーマーケティングに投資すると回答。
- インフルエンサー マーケティングを活用しているマーケティング担当者の 57% は、その効果を認めている。さらに、そのうち 46% は、2022年に投資を増やす予定。
インフルエンサー マーケティングへの投資が増加する背景には、口コミが消費者の購入の意思決定に大きな影響を与えることが要因です。
- 世界60カ国の回答者の 83% が、友人や家族からの推薦を信頼し、66% がオンラインでの推薦を信頼している。(Nielsen)
- 購入者の74%(自動車、美容、スマートフォンのカテゴリー)が、購入の意思決定に影響を与える主なポイントとして口コミを挙げてる。(Google)
何をするべきか?
マイクロインフルエンサーを起用したマーケティング戦略を行う。
インフルエンサー マーケティングに投資しているマーケターの 56% 以上が、マイクロインフルエンサーを起用しています。(HubSpot)
マイクロインフルエンサーとは、フォロワー数が少ない(数千から数万のフォロワー)ソーシャルメディアのプロモーターです。フォロワー数は少ないですが、ファンとのエンゲージメントが高く、高いコンバージョン率を期待できます。
その他、口コミが発生しやすい投稿を計画的に行います。
- 商品のレビューをシェアする。フィードバックに活用する。
- 商品の写真や動画を、特定のハッシュタグをつけてユーザーにシェアしてもらう。
- シェアされやすいコンテンツを投稿する。
6. ライブストリーミング市場の拡大
ライブストリーミングは、パンデミックをきっかけに今後さらに巨大な市場になっていくことが予想できます。
- ライブストリーミングの世界市場は、2027年には2,470億ドル以上に達すると推定される。(Market Research Future)
- ライブコンテンツの視聴時間は、2020年に 250% 増加した。(Google)
- アメリカのインターネットユーザーの 24% が、パンデミック以降、より多くのライブストリームを視聴していると回答。(eMarketer)
また、ライブビデオ視聴者の 52% が、ソーシャルメディアでコンテンツをストリーミングしています。(eMarketer)
つまり、ライブストリーミングはソーシャルメディアと相性が良く、ユーザーとブランドが交流する手段として優れています。
何をするべきか?
YouTube Live、Instagram Live、Facebook Live などでライブ配信で行う。
ブランドは、マイクロインフルエンサーを起用するなど、インフルエンサー マーケティングと組み合わせて活用しています。
SIDENOTE
ゲーム市場は、過去3年間で5億人の新規参入者があり、2800億ドルを手にしています。(accenture)
こうしたゲーム市場のトレンドによって恩恵を受けているのが、Twitch などのライブストリーミング プラットフォームです。Twitch は、月間訪問者数が10億人を超えています。
ライブストリーミング コンテンツを多くのユーザーが好んでいことを裏付ける現象といえます。
7. オムニチャネル マーケティングは必須
2023年までに、世界のオムニチャネル・リテール・コマース市場は110.1億ドルに成長すると予測されています。(Market Research Future)
オムニチャネル マーケティングとは、顧客や見込み客があらゆるチャネル、プラットフォーム、デバイスで自社の製品やサービスにアクセスできるようにすることです。
たとえば、ヨドバシカメラや IKEA は、オンラインストア、モバイルアプリ、電話、店舗で注文できます。
こうしたオムニチャネルのキャンペーンの購入率は、シングルチャネルのキャンペーンに比べて 287% も高くなります。(omnisend)
実際、eコマース企業の 47% が、2021年のビジネスにはオムニチャネル戦略が不可欠だと回答しています。(SaveMyCent)
何をするべきか?
製品、カスタマーサポート、プロモーションの3つの領域でチャネルを増やす。
- 製品 ― たとえば、Ahrefs は、SaaS プラットフォーム、ブラウザツール、WordPress プラグインなど複数の製品を提供している。
- カスタマーサポート ― 人だけでなく、ライブチャットを活用をする。79% の企業は、ライブチャットが顧客のロイヤリティ、売上、収益にプラスの結果をもたらしたと回答。(Kayako)
- プロモーション ― 様々な媒体でプロモーションを行う。Google 広告、Facebook 広告、YouTube 広告など。
8. 音声検索にも最適化が必要
Alexa や Google アシスタントに口頭で質問して、ウェブ検索を始めたことがありますか?
音声検索は、とても便利な機能で利用者を増やしています。
- 全世界のオンライン人口の 27% が、モバイルで音声検索を利用している。(Google)
- 消費者の 48% は、 一般的なウェブ検索に音声を使用している。(Search Engine Land)
- 消費者の 44% は、毎日何らかの音声技術を使用している。(Search Engine Land)
これらのデータは、音声検索に対しても最適化する必要性を示しています。
何をするべきか?
音声検索の結果の約 75% は、そのクエリの検索結果トップ3にランクインしています。(BACKLINKO)
そのため、音声検索で検索される可能性が高いキーワードでコンテンツを作成して、上位表示する必要があります。
音声検索は、質問型のクエリで検索される傾向があります。そのため、キーワードリサーチのプロセスでは、質問型のロングテールキーワードを探します。
たとえば、Semrush の Keyword Magic Tool で ”東京タワー” を検索して、キーワード数を 4 以上に絞り込むと、質問型のキーワードを複数発見できました。
Semrush > Keyword Magic Tool > 詳細設定(4以上)
あとは、これらのキーワードで最適化したコンテンツを作るだけです。
関連するコンテンツ: ロングテールSEO戦略:ロングテールキーワードを探す方法
音声検索の結果の約 75% は、そのクエリの検索結果トップ3にランクインしている。 ツイートする9. モバイル最適化は終わらない
モバイル最適化の作業には、終わりがないのかもしれません。
ユーザーは、多くの時間をモバイルデバイスで過ごしています。
- 全世界のウェブサイトのトラフィックの約 57% は、モバイルデバイスからのものです。(Statista)
- スマートフォンユーザーの 87% が、毎日検索エンジンを利用している。(Go-Globe)
- 2021年9月における全世界のデバイス別検索エンジンのシェアは、モバイルが 54.61%、デスクトップが 42.87%、タブレットが2.52%となっている。(Statcounter GlobalStats)
また、モバイルの利用頻度が高いミレニアル世代やZ世代の購買力が高まるにつれて、モバイルに最適化されたユーザー体験の重要性が増します。
実際、マーケターは、モバイル最適化への投資を重要なマーケティング戦略と捉えています。
HubSpot によると、
- マーケターの 33% が、モバイル ウェブ デザインに投資している。
- モバイル ウェブ デザインに注力しているマーケターの 84% が、2022年にも同額以上の投資を継続すると回答。
- SEO 担当者の 64% が、モバイル最適化を効果的な投資と回答。
何をするべきか?
モバイルでの優れたユーザー体験を提供するための最適化を行う。
モバイル ウェブ デザインの向上、AMP、プログレッシブウェブアプリの導入などを検討する。
モバイル ウェブ デザインに注力しているマーケターの 84% が、2022年にも同額以上の投資を継続すると回答した。 ツイートする10. インフォグラフィックの再燃
インフォグラフィックは、ソーシャルシェアや被リンク獲得に効果的な戦略です。
海外では数年前に、インフォグラフィックの埋め込みコードによる被リンク獲得のブームがありましたが、再注目しているマーケターが多いようです。
2021年に使われたコンテンツマーケティングのメディアの第3位は、インフォグラフィックでした。(HubSpot)
さらに、マーケターの 38% は、2022年にインフォグラフィックを初めて活用する予定であると回答しています。
何をするべきか?
インフォグラフィックを作成して、ブログやソーシャルメディアに活用する。
ちなみに、このコンテンツ冒頭のインフォグラフィックは、Easelly で作成したものです。インフォグラフィックは、テンプレートで作成できる専用のツールを使用するのがおすすめです。
次は、数年前に作成したシェアを生む方法についてインフォグラフィックです。
2021年に使われたコンテンツマーケティングのメディアの第3位は、インフォグラフィック。 ツイートする11. メールマーケティングは不可欠
メールは、COVID-19 のパンデミックによって重要性が増したチャネルです。
マーケターの 90% 以上が、メールマーケティングは企業の成功に不可欠であると回答しています。(litmus)
そして、41% が「非常に重要」と答え、2019年のパンデミック前から上昇しています。さらに、約 37% の企業は、2022年にメールへの投資を増やす計画をしています。
企業は、メールをニュースレター、ウェルカムメール、製品情報などに活用しています。
何をするべきか?
パーソナライズされたニュースレターやメールキャンペーンを行う。
ユーザーは、パーソナライズされた体験を好みます。
Litmus によると、
- マーケターの10人に9人は、パーソナライゼーションがビジネス戦略全体に不可欠であると考えている。
- 80% の顧客は、パーソナライズされた体験を提供するブランドから購入する可能性が高い。
- 83% の顧客は、よりパーソナライズされた体験を実現するために、自分のデータを共有することを望んでいる。
ConvertKit などのメール配信サービスは、パーソナライズされたメールマーケティングを低料金で始めることができます。儲け学は、アスメル とConvertKit を利用しています。
関連するコンテンツ: 18の今すぐメルマガ登録者を獲得する方法(リストビルディング)
マーケターの 90% 以上が、メールマーケティングは企業の成功に不可欠であると回答している。 ツイートするあなたの注目しているトレンドは?
2022年のデジタルマーケティングのトレンド予測はいかがだったでしょうか?
私は、このコンテンツで言及しなかった次のようなトレンドにも注目しています。
- プライバシー重視のマーケティング ― サードパーティー クッキーの終焉が近づく中で、ファーストパーティー クッキーへの切り替え準備が求められます。企業は必要な情報を自らで収集する体制を作る必要がありそうです。
- 多様性 ― 人種、文化、価値観、言語などをより考慮したマーケティング戦略が求められる傾向にあります。61% の人が、広告の多様性は重要だと感じていると回答しています。(Adobe)
- 音声コンテンツ ― Podcast などの音声コンテンツは、世界では成長中の分野です。しかし、日本ではポッドキャストを1ヶ月に1回以上使用するユーザーは 14.2% と利用者数は多くありません。(朝日新聞デジタル)今後、音声コンテンツが日本に根付くのかを注目しています。
もし、あなたが注目しているトレンドがあったら、ぜひ教えてください。
日本ではポッドキャストを1ヶ月に1回以上使用するユーザーは 14.2%。 ツイートする宮 義明は、儲け学の運営者で宮行政書士事務所の代表です。儲け学は、海外の最新 SEO ・ウェブマーケティング戦略や、SEOツール「Smallsteps」を公開しているマーケティング情報サイトです。宮 義明は、マーケティング関連のウェブサイトを10年以上運営しており、そこで得た経験や情報を発信しています。著者情報の続きはこちら
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